電気通信主任技術者(通信線路)の牽引張力計算問題の解説

電気通信主任技術者(線路)の専門科目である「通信線路」の問5に頻出されている牽引張力の計算問題ついて解説していきます。

近年で毎回1問は必ず出題されていますので、この計算問題を確実に解けるようにして3点を確保しましょう!

公式とパターンを覚えるだけで解けますので、参考にしてみて下さい。

牽引張力と張力の公式

さっそくですが、「牽引張力の公式」と「弛度と張力の公式」を覚えましょう!

・直線区間  T=To+μgLW
・曲線区間  T=(To+μgLW)K
・屈曲部直後 T=ToK

To:敷設区間直前の張力
μ:摩擦係数
g   :重量加速度
L   :敷設対象区間の長さ
W :単位長当たりのケーブル重量
K=e(μθ)乗:張力増加率

※上記の公式は、令和1年第2回の問5(1)にも出題されています。

・弛度 D=WS2乗/8T・・・①

 

張力を求める式に変化すると、

・張力 T=WS2乗/8D・・・②

D :弛度
W:単位長さ当たりのケーブル重量
S:スパン長
T:張力

 
この2つの公式を覚えると、張力系の問題はほとんど解くことができます!
次項から近年2年分で出題された過去問を例に、解説していきます。
【過去問の利用について】

2年分(年2回の4試験分)の過去問利用につきましては、電気通信国家試験センターの「お問い合わせ」に確認し了承頂いております。

出典:一般財団法人データ通信協会電気通信国家試験センター_電気通信主任技術者_試験問題・解答

[過去問]令和1年第2回問5(3)

[解説]
「弛度と張力の公式②」を用いて簡単に解くことができます。

T=0.5×35×35 / 8×0.25
 =612.5 / 2
 =306.25

答えは「整数とする」となっているので、小数点以下を切り捨てし、

A.306

③が答えになります。

[過去問]平成31年第1回問5(5)

[解説]
「直線区間の牽引張力の公式」を用いるのですが、少し応用問題となります。

ここで、問題文にcos・sinと記載があるので、三角関数を使用することが想像できます。問題は傾斜した区間での牽引張力ですので、x軸方向とy軸方向に力が働きますので、

T=To+μgwL(cos20)+gwL(sin20)
 =400+(0.2×10×0.65×150×0.94)
    +(10×0.65×150×0.34)
 =400+183.3+331.5
 =914.8

答えは「最も適したもの」とあるので、

A.915

④が答えになります。

[過去問]平成30年第2回問5(5)

[解説]
「直線区間・屈曲部直後の牽引張力の公式」を用いて解くことができます。

問題文に「交角20度」とありますが、cos・ sinの数値が記載されていないことから無視して良いと言えます。

【X-Y間の牽引張力】
直線区間 Txy=100+(0.5×10×0.5×200)
       =100+500=600

【Y点での屈曲部直後の張力】
屈曲部直後 Ty=Txy・K
         =600×1.2=720

【Y-Z間の牽引張力】
直線区間 Tyz=Ty+(0.5×10×0.5×100)
       =720+250=970

よって、Z地点での牽引張力は、

A.970

④が答えとなります。

【参考】

「牽引張力の公式」より張力増加率は

K=e(μθ)乗
[※θの単位はrad]

の数式で求めることができ、この数式に今回の問の摩擦係数と角度を当てはめると、[※20度≒0.35rad]

K=e(0.5×0.35)乗=e(0.175)乗
 ≒1.1912≒1.2

問題文で与えられている通り、張力増加率は「1.2」になります。

[過去問]平成30年第1回問5(5)

[解説]
「直線区間の牽引張力の公式」を用いて簡単に解くことができます。

【X-Y間の牽引張力】
直線区間 Txy=1500+(0.5×10×0.6×150)
       =1500+450=1950

よって、Y点での張力は

A.1950

答えは④になります。

後書き

上記の問題同様に、出題されるパターンは決まっているので、

過去問を遡って見てみると傾向が分かります。

公式とパターンを覚えると確実に解くことができます。

電気通信主任技術者(線路)を受験しようと考えている方は参考にしてみて下さい。

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合格60点中の3点を確実にとれるのは大きいです!

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